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病院事業管理者より(5):市立病院は新型コロナに対峙しつつ地域医療連携を一層強化します
わが国において最初の新型コロナウィルス感染症患者が確認された令和2年1月15日から約1年が経ちました。世界中を不安に陥れている新型コロナですが、歴史を振り返っても、いずれこの流行が終息するのは確かです。問題はその時期を如何に早めるかであり、国を始めとする行政当局の根本的施策に期待しつつも、自身の所属する組織や個人としての対策は欠かせません。
当院では新型コロナの拡がりに対応し、昨年4月に病院長を対策本部長、副院長2名と感染制御管理室長をそれぞれ診療維持、資材管理、感染対応の各部門を担当する副本部長に任じ、基幹病院としての本来機能を維持しつつ新型コロナ禍に対応できる組織体制を整えました。
まず新型コロナウィルスの院内拡散を防止するため、感染経路の遮断を目的とする感染管理区域を設定し、来訪者に対するマスクの着用、手指消毒、人-人距離確保(ソーシャルディスタンシング)を呼びかけ、入院患者さんへの面会制限を行いました。さらに、発熱や咽頭痛、咳、味覚・嗅覚異常などの症状を有す患者さんには最初に予防外来(いわゆる発熱外来)で診療を受けていただくなど、院内感染の発生防止に最大限の注意を払うこととしました。
また、感染の拡がりにより、当院は公立の組織として国や県から新型コロナ関連の診療協力が求められることとなりました。それは一般病床の縮小と医師・看護配置再編を意味し、救急やがん診療などの一般急性期医療に多大な影響を及ぼしました。その状況下で患者さんの軽微な病状での当院受診は、より重症な患者さんの診療を圧迫すると同時に職員の負担を過大なものとしかねません。当院においても新型コロナ対応の職員ばかりでなく一般診療担当の職員にも疲弊が生じ、いわゆる医療崩壊を防ぐための対策が欠かせなくなっています。
新型コロナウィルス感染症の特徴とも言える発病前からの感染性と無症状ウィルス保有者による感染は病院の内外を問わずやっかいな問題であり、予防と早期発見による感染拡大防止と重症化防止が重要です。それは個人の姿勢に負うところも大きく、マスク着用と手指衛生管理の励行、3密回避などの予防策とともに、わずかな体調の変化でも気軽に相談できる「かかりつけ医」を持つことの意義が従来にも増して高まりました。
草加市立病院は二次医療機関として、救急診療を含め、入院や手術、特殊な治療などを必要とする患者さんへの対応を使命としています。この新型コロナ禍により外来も病棟も様々な制約を受けている現在、当院が本来機能を維持していくためには、かかりつけ医の判断で当院を受診し、病状が安定ないし固定したら再びかかりつけ医や連携病院で診てもらう(紹介と逆紹介)という地域医療連携を円滑に動かす必要があります。そして、埼玉県東部南地域全体としても、行政や保健所と協力しつつ、各医療施設の機能に応じた役割分担を適切に行う以外に、逼迫してきた地域医療を守る道はありません。
当院は現在、新型コロナ対応への振り分けで大幅に減じた一般診療での医療資源(人的、物的)をより有効に活用するため、地域医療連携の体制強化を図っています。地域住民の皆さまには、万一の際にすぐ相談でき、当院などの二次医療機関を紹介してもらえるような信頼できる「かかりつけ医」を持ち、より不安の少ない日々を過ごしていただきたいと思います。
草加市病院事業管理者 河野辰幸