メニューにジャンプ コンテンツにジャンプ
電話番号:048-946-2200

トップページ > 当院について > 活動・取り組み > がんへの取り組み

がんへの取り組み

がん登録について 診療実績(手術件数) 外来化学療法室 放射線治療
緩和ケアとは 乳がん患者と家族の
ためのサロン「ひまわり」
肝胆膵外科について
(別ページ)
乳腺センターについて
(別ページ)

 

 当院では年間1,000人の方が、はじめてがんと診断されています。
 そのため、手術、化学療法(抗がん剤)、放射線などの治療を実施するとともに、苦痛への全人的取り組みである緩和ケアを積極的に行い、また、乳がん患者サロン「ひまわり」を開催するなど、患者さんやご家族に寄り添った対応をさせていただいております。

<最近の取組み>

  • 平成31年4月 肝胆膵外科高度技能専門医の光法雄介医長が着任し、専門外来を開設しました。
  • 平成31年4月 病理診断科に常勤の医師が着任し、令和元年7月から乳腺外科、放射線科、病理診断科による乳腺疾患を専門に扱う乳腺センターを開設しました。
  • 令和元年10月  緩和ケア科に鈴木友宜部長が着任し、緩和ケア病棟の開棟に向けて準備しています。
  • 令和2年6月   当院かかりつけの患者さんを対象とした、緩和ケア病棟を開棟しました。
  • 令和2年10月 これから受ける治療について、他の医療機関の専門医の意見を聞く「セカンドオピニオン外来」を開始しました。
     
    セカンドオピニオン外来について

がん登録について

 当院では、従来より埼玉県地域がん登録事業に協力し、平成28年から、がん登録等の推進に関する法律に基づき法制化された全国がん登録事業でデータの提出を行っています。全国がん登録とは病院ではじめてがんと診断されたすべての患者さんに関してがんについての情報を病院全体で集め、その病院のがん診療がどのように行われているかを明らかにする制度です。埼玉県からの推薦を頂き、平成29年のデータ分から全国がん登録情報よりも詳細な診断・治療情報を収集する院内がん登録制度においてもデータの提出を始めています。

がん登録件数

  提出先 2016年
(平成28年)
2017年
(平成29年)
2018年
(平成30年)
2019年
(令和元年)
2020年
(令和2年)
全国(地域)がん 埼玉県 1,121 1,095 958 1,071 1,078 
院内がん

診療実績

 手術のうち外科的治療については、胃がん手術の約50%に対し腹腔鏡下手術が実施されており、腹腔鏡下幽門側胃切除術(LDG)のほか、病変の局在によっては腹腔鏡下胃全摘術(LTG)や腹腔鏡下噴門側胃切除術(LPG)を選択しています。また、郭精度を向上させて適応を進行がんの一部にまで拡大し、体腔内吻合も行っております。
 大腸がん手術では直腸がんや進行がんにも適応を拡大し、最近は約75%の症例に対し、腹腔鏡下手術を行っております。使用機器の面では、特に低位前方切除術(LALAR)における細径内視鏡とHi-Visionモニターの導入は術野の視認、剥離層の確認において効果を発揮しております。更に3Dシステムの導入により対象臓器の立体的な観察が可能となり従来の2D映像では困難であった奥行き感の把握が容易となっており、今後、手術精度の更なる向上や手術時間の短縮が見込まれます。
 がん治療においても、根治性のみならず機能温存、入院期間の短縮、創の縮小による整容性など、術後患者さんのQOL向上が求められる時代となり、低侵襲な治療である腹腔鏡下手術の役割が今後ますます拡がるものと考えております。
 内視鏡的治療としては、早期がんに対する内視鏡的切除(ESD:内視鏡的粘膜剥離術、EMR:内視鏡的粘膜切除術)を積極的に行っています。

 悪性腫瘍の延べ手術件数

  2019年(令和元年) 2020年(令和2年)
  手術件数 外科的手術 (内、腹腔鏡下手術) 内視鏡的治療 手術件数 外科的手術 (内、腹腔鏡下手術) 内視鏡的治療
胃癌 103 40 22 63 80 35 24 45
大腸癌 182 117 84 65 217 132 87 85
食道癌 - - 0 - 15 - - -
肝・胆・膵癌 28 28 0 0 26 26 - 0
乳癌 52 52 0 0 66 66 - -
前立腺癌 10 10 0 0 12 12 0 0
膀胱癌 128 - 0 119 108 - 0 101
腎・腎う癌 24 24 0 0 18 18 0 0
甲状腺癌 - - 0 0 12 12 0 0
舌・歯肉・口腔底癌 - - 0 0 10 10 0 0
皮膚癌 - - 0 0 - - 0 0
血液癌 - - - 0 - - 0 0
脳腫瘍 11 11 0 0 - - 0 0
その他 36 36 0 0 23 21 - 0
合計 602 351 107 251 601 362 115 239

注:手術件数が10件未満の項目は患者さんが特定されやすいため、「-」表示となっています。
注:外科的手術は、開腹手術と腹腔鏡下手術の合計件数です。
注:腹腔鏡下手術とは、おなかに5,6か所の穴をあけ、その穴からカメラ、メスなどを入れてがんを切除する方法です。
注:内視鏡的治療とは、口や肛門からカメラ付きの管を入れ、胃や腸の内部からがんを切除する方法です。  

外来化学療法室

 当院には外来化学療法室が設置されており、通院で抗がん剤治療ができます。平成28年4月に外来化学療法室を8床から14床に増床しリニューアルしました。リラックスして治療を受けることができるように配慮した環境を整えております。外来化学療法室では多職種のスタッフが協働し、治療を受けながら出来るだけその人らしい生活が送れるようサポートしています。

2016年度
(平成28年度)
2017年度
(平成29年度)
2018年度
(平成30年度)
2019年度
(令和元年度)
2020年度
(令和2年度)
2,515 3,017 2,816 2,958 2,776

(単位:人)

  • 外来化学療法室の画像1
  • 外来化学療法室の画像2

放射線治療

 手術ががん周囲の正常組織を含めて切除するのに対し、放射線治療では組織を切ることなく治療できるため、基本的に臓器の形や働きを温存できます。1回の治療時間は短く、治療そのものによる痛みもなく、日々の治療による身体の負担は少なくなります。また、外来通院での治療も可能です。そのため、高齢者や合併症のために手術や薬物療法に耐えられない方、入院できない方でも完治を目指した治療が可能になります。ただし、がんの種類・病巣の進展範囲によって放射線の効きやすさに違いがありますし、治療期間が長期になる場合があります。放射線治療に伴う副作用は放射線治療の部位、照射面積、照射線量、照射期間などに影響され、その出現には個人差があります。放射線治療開始前に放射線治療医から、治療方針とそれに伴う副作用などについて十分に説明いたしますのでご安心ください。

 当院での放射線治療は、放射線治療医、診療放射線技師(放射線治療専門放射線技師、医学物理士、放射線治療品質管理士)、看護師が一つのチームとして、患者さん中心の最適な治療をご提供できるように日々取り組んでいます。以下に各年の放射線照射実施件数を示します。

  2017年度
(平成29年度)
2018年度
(平成30年度)
2019年度
(令和元年度)
2020年度
(令和2年度)
肺癌 280 429 286 250
皮膚・骨・軟部腫瘍 232 380 166 255
泌尿器系腫瘍 445 141 216 242
前立腺 371 278 500 243
胃・小腸・結腸・直腸癌 163 134 92 213
肝・胆・膵癌 45 75 0 28
乳癌 1,541 1,157 1,112 1,239
頭頸部腫瘍(甲状腺含) 252 506 780 827
食道癌 168 349 114 333
気管・縦隔腫瘍 36 25 10 0
脳・脊椎・腫瘍 219 134 180 207
造血器リンパ系腫瘍 155 106 193 340
婦人科腫瘍 161 70 73 25
その他(悪性腫瘍) 121 80 15 1
15歳以下の小児 0 0 0 0
良性疾患 0 0 0 3
4,189 3,864 3,737 4,206
(治療計画) 242 212 230 273

マンモグラフィ装置の画像 放射線治療装置の画像

緩和ケア

(1) 緩和ケアとは 
 病気の時期を問わず、がんばかりでなく、命を脅かす病気によるつらさに直面している患者さん本人とそのご家族に対して、そのつらさを少しでも和らげることで、日常生活をもっと楽に過ごしてもらえることを目的としたもので、患者さんを、「がんの患者さん」と病気の側からとらえるのではなく、その人らしさを大切にし、身体的・精神的・社会的・スピリチュアル(霊的)な苦痛を全人的苦痛ととらえて、早期よりつらさを和らげる医療やケアを積極的に行うことで、患者さんとご家族の療養生活の質をよりよいものにしていくことです。

(2) 緩和されるべきつらさ
 患者さんやご家族はどんなつらさに直面するのでしょうか。
 つらさ自体はひとりひとり違いますし、また病状によっても変わると思います。
 がん患者さんを例としてあげると、全体を通して、がんによる痛みなどの症状ばかりではなく、がんと診断されたときのショック・気持ちのつらさ、抗がん剤の副作用や手術などの治療による痛み、また再発や転移がわかったときは、不安やうつ状態が現れるかもしれません。さらに、仕事の問題や経済的な問題、家族関係の問題も起こり得ます。
 このように、決して進行した状態だからつらさが大きいわけではなく、診断された早期の段階から様々なつらさを感じる可能性があります。今までのがん医療の考え方では、がんを治すということに関心が向けられ、病院でもこれらのつらさに対して十分な対応ができていませんでしたが最近では、患者さんがどのように生活していくのかという療養生活の質もがんを治すことと同じように大切と考えられるようになってきています。

(3) 当院における緩和ケア
 当院では、2019(令和元)年10月から緩和ケア科を開設し、外来・入院患者さんの症状緩和に努めています。
 2020(令和2)年7月現在、緩和ケア外来では、当院かかりつけの患者さんのみを対象としていますが、主治医と連携をとりながら、痛みなどの苦痛症状の緩和を行っています。
 緩和ケア外来は、木曜日を除く平日の午後に診療枠を設けていますが、主治医の診療が午前中に終わった場合は、午後までお待たせせずに、すぐに診療する体制をとっています。
 また、入院中の患者さんの苦痛には、緩和ケア科医師・緩和ケア認定看護師・薬剤師などで構成する緩和ケアチームで対応しています。
 緩和ケアチームは、からだやこころのつらさを緩和する方法を担当医や担当看護師と一緒に考えるチームで、その方らしい療養生活を支援することを目的としています。診察結果を踏まえて、担当医や担当看護師らと相談の上、薬やケアの方法などを調整するサポートをしていきます。緩和ケア外来・緩和ケアチームは、がん患者さんばかりでなく、心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)など非がん患者さんの苦痛の緩和ケアにも取り組んでいますので、気軽にご相談ください。
 また、病気の進行によって生じる様々なつらさを和らげるための治療とケアを提供する専門の病棟として、2020(令和2)年6月、緩和ケア病棟を開棟いたしました。2020(令和2)年8月現在、個室4床・2人部屋4床の計8床での運用であり、ご利用は当院かかりつけの患者さんに限らせていただいております。
 緩和ケア病棟では、痛みや息切れ、吐き気、眠れないなどの身体のつらさから、不安などの気持ちのつらさに至るまで、患者さん・ご家族のつらさが少しでも和らぐように支え、症状が安定した後に、自宅に戻る(退院する)ことを目標としています。
退院にあたっては、自宅療養でも不安がないように、地域訪問診療医・訪問看護ステーションなどと連携を図って参ります。また、病状の進行に伴い、家で過ごすことがかえってつらい場合もありえますので、その際は、緩和ケア病棟が家のかわりとして過ごしていただけるように、環境整備を行っています。

(4) 緩和ケア病棟入院について
 2020(令和2)年7月現在、8床での運用となり、緩和ケア病棟利用のお申し込みは、当院かかりつけのがん患者さんに限らせていただいております。 
 入院につきましては、事前に緩和ケア病棟入院相談外来を受けていただく必要があり、また緩和ケア病棟への入院基準を満たしていただくことも必要ですが、先着順での入院ではなく、病状やご家族の状況などに配慮し、入院の優先順位を随時見直していく方針です。緩和ケア病棟では、訪問診療の先生方との連携を重視し、特に自宅でつらい症状に悩まれている患者さんの入院希望につきましては、できうる限り早急に対応する方針です。
 また、抗がん剤や放射線治療など積極的な治療を行っている患者さんでも、緩和ケア病棟入院相談外来を受診いただくことは可能とする予定ですが、緩和ケア病棟入院中は、抗がん剤などの積極的な治療はできませんので、ご了承ください(痛みのコントロール目的の放射線治療は行っています。詳細は入院相談外来受診時にご確認ください)。 

乳がん患者と家族のためのサロン「ひまわり」

 当院に通院している乳がん患者さんとその家族を対象に、毎月第3木曜日の午後2時から午後4時の時間帯で乳がん患者サロン「ひまわり」を開催しています。病気を抱えながら生活していくうえで、時には落ち込んだり不安になったり、誰かに話を聞いてほしいと思うこともあるはずです。「ひまわり」は寛いだ雰囲気の中で、患者さん同士や看護師と自由に語り合い、癒やし癒やされ自分らしさを取り戻して、また新たな一歩を踏み出していただくための場所です。